自分はどの傷だろう?
火傷による傷跡
人間は深い火傷(真皮組織にまでおよぶ火傷)をすると、その跡は肉芽組織に置き換わって傷跡になります。火傷には一般的な火傷だけでなく、酸やアルカリによる科学的な火傷もあります。初期治療を誤ると傷跡になるので、適切な処置が必要です。
I度熱傷
II度熱傷
III度熱傷



◆I度熱傷: 表皮(角質層)のみの損傷
日焼けなどの炎症で、軽い熱感・疼痛を伴います。皮膚に赤みが出る程度で、傷跡にはなりません。数日のうちに落ち着きます。
◆II度熱傷: 真皮に及ぶ損傷(浅or深)
II度は水疱ができるレベルの『浅い』熱傷です。水疱をむやみやたらに潰さず、適切に処置すれば傷跡にはなりません。しかし、II度の『深い』熱傷の場合、治癒するまでに3~4週間かかるため傷跡になりやすく、ひどい場合は引きつれを伴います。
◆III度熱傷: 表皮と真皮全層の損傷
皮膚が壊死している状態です。皮膚を移植するなど、組織移植が必要になります。瘢痕やケロイドの傷跡になります。
◆ 症例写真
case1根性焼きの傷跡(左前腕熱傷後瘢痕)の修正 :別の傷跡に変える


Before
Before(シミュレーション)
左前腕に10代の時に行った“根性焼き”の傷跡(直径1cm以上の円形の瘢痕が4ヵ所)を認めます。社会生活を営む上で消す必要性を感じ、治療を希望した症例です。治療の目的は、根性焼きの跡のように見えなくすることです。このような場合、シミュレーションで縫合できるか確認(※)したうえで、デザインします。
※無理に縫合すると腕が強く圧迫され、神経が麻痺するコンパートメント症候群を引き起こします。そのような場合は植皮術が有効です。
◆リスク・副作用・合併症
【縫合による傷跡修正】
内出血、腫脹、感染、瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ)、瘢痕拘縮(引きつれ)、ケロイド形成、真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、修正前より目立つ、テープかぶれ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
※before & afterの画像は、参考画像であり効果や満足度は症例により異なりますのでご了承下さい
~この症例の経過~



今回の症例は関節に近いために、①テープ固定、②ギプス固定、③トラニラスト内服を行いました。①、②は傷の安静をはかるため、③は傷の赤みを抑えるためです。術後1カ月が経過すると、赤みが少し改善しています。この傷跡であれば一本の線(傷跡)となり、根性焼きの跡だとは誰も思いません。
※ヒルズ美容クリニックWEBサイト及び関連WEBサイトに掲載されている症例写真は、当院の患者様のご厚意により掲載許可を得ています。当サイトの写真・イラスト・文章等の無断転載・引用・使用を禁じます。